ごえんびと
第21回
コリとる鍼灸整体サロン
三村 聡 さん
連載コーナー「ごえんびと」
壽徳寺にご縁のあるひと(ごえんびと)にインタビューし、想いを伺いながらご縁を深めます。
第21回は、コリとる鍼灸整体サロン 三村聡さんです。
みなさんは、鍼灸院に行ったことありますか?鍼(はり)やお灸、体験したことございますでしょうか。住職も以前から興味はあるものの、なんとなく怖い、痛そうというイメージから体験したことがなく、今回初めて体験させていただきました。
三村さんがおてらヨガに参加してくださったことがご縁で、今月末には「はじめてのお灸教室」としてお灸(せんねん灸)を体験していただく会も開きます。ぜひみなさんにもご体感いただき、その予習としても今回のインタビューもぜひご覧ください。
令和3年3月3日 開業
―――郡山市内で鍼灸院を開業されているのですよね
令和3年3月3日にオープンしました。三村って苗字なので、3が三つ並ぶこの日しかないと思い立って急いで物件を探して契約し、3月3日に開業届を出しただけで、当時は何もなかったんですよ。ただベッド1台置いただけっていう院内。何の広告宣伝もしてないから、誰も来ない状態で3月3日プレオープン、一生懸命DIYして、3月6日にフルオープンしました。三村なので、3月6日というのもポイントです笑。床も自分で貼ったし、何もない状態から1年半かけて一切業者は入れず、全部DIYで作り上げました。
もともとは、実家がある泉崎村で開業する予定だったんです。実家の隠居をリフォームし、畑も駐車場に変えて開業の準備をしていたんですが、コロナの緊急事態宣言が出て、今やっても誰も来ないかなと思って断念したんです。ちょっと出稼ぎにでも行こうと思って別の治療院でも働いたのですが、自分が求めているものを実現するには、自分でやるしかないんだなと思って、ここをオープンしました。震災から10年経ち、やりたいことをやろう!と一念発起して開業しました。
―――「コリとる」という名前にはどんな意味が込められていますか?
以前勤めていたところでは鍼灸師として雇われたんですけど、来る方のほとんどが「ほぐし」を目的に来ていました。「鍼灸いいですよ」というと、みんな鍼やお灸も興味を持ってくれるんですけど、ほぐしがメイン。皆さんが求めているのは揉みほぐしなんだなと感じ、そこに活路を見出しました。みんな凝ってるんだなって。凝りを取りたくて来てる、ほぐされたくて来てるんです。鍼灸接骨院だけど別に電気入れて欲しいわけでもないし、鍼を刺して欲しいわけでもない。この凝りが取りたい、郡山の人は凝ってるんだなっていうのがわかったんです。
東京では鍼灸治療ばかりでしたが、東京の人はどっちかといえばメンタル系、自律神経の問題とか、鍼灸でしっかり時間をかけてお身体を整えるっていう治療がメイン。でも福島では本当に凝り固まってる感じ、頭も体も全てが凝り固まっちゃってるから、これは凝りを取ってあげないとっていうのがあって、「コリとる」っていう名前にしたんです。うちのコンセプトは、「体と心の凝りを取る、コリとる」っていうのが決まって、身体の凝りが取れれば心も少し豊かになってくる。通ってくれる方と接していく中で、本当に求めているものとか問題って見えてくると思い、まずは凝りを取るというコンセプトとしてやっていこうと思ったんです。
―――鍼灸院ってなかなか行く機会がないですよね
そうですよね。鍼灸院っていうとどうしても敷居が高いイメージで、みんな足を踏み入れにくいっていうのがあったんで、チェーン店のほぐしやさんに行くイメージで、気軽に来てもらえたらと思っています。そして来た方には、ただほぐすだけじゃなくって、しっかり治したいとか、ちゃんと凝りを取るには鍼灸もいいのかなと思ってもらえるようにって。通って来てくださってる方々は、ほとんど鍼灸をやった事ない方ばかりでした。だけど僕が鍼灸いいですよってオススメすると、やってみようかなって言ってくれて、みんな受けてくれてます。鍼灸の良さを知っていただき、体がつらくなると、やっぱり鍼灸だなっていう感じで治療を受けてくれる方々にご来院頂いてます。
鍼灸との出会い
―――鍼灸師になるきっかけをお聞かせください
大学1年生の時に私の父が会社の事故で半脳死状態になったんです。生きるか死ぬかぐらいになって、若かったんで一命はとりとめたんですけど、病院でずっと入院している状態で、大学辞めて実家に戻らなくちゃなって考えてました。大学は辞めずに卒業できたのですが、卒業後は郡山でシステム設計の仕事に就いたんです。ですがもうその頃から医療系に進みたいなっていう気持ちがありました。そんな時に、今度は祖父が脳出血で亡くなって。健康第一で病院にもかかった事がない祖父が、死ぬ間際に血圧を気にしたらしいんです。祖母が言うには血圧測って随分血圧を気にしていたと。そういうのが事前に前兆としてわかっていて、その時にもし自分に知識があれば死なずにすんだのかなって。改めて医療の道に進もうって決めた出来事でした。
父や祖父の事があって、医療の道に進みたいな、人の助けになれるような事がしたい、父の病も少しでも何か助けになるような事ができたらと思いながらも、今から医者を目指して受験勉強する気力もないですし、どうしようかと思っていた社会人1年目。とある日に首が寝違えちゃって、それが1週間ぐらい続いたんですよ。借金してないのに首が回らないみたいな感じで1週間仕事してたら、友達が鍼が効くよって言ってくれて。たまたまネットで調べて良さそうだなと思った治療院に行って、初めて鍼をやって、そこでピカーンみたいな、自分がやりたいのはこれだ!ってなって。そこからすぐ脱サラをして、郡山の鍼灸学校に入学しました。
―――すごい巡り合わせと行動力ですね
入学してみると、鍼灸師になるきっかけになった先生が講師で来られていて、すごくかわいがってくれて、先生の治療院で研修させてもらいまいた。卒業したらすぐ地元の泉崎で開業しようと思ってたんですけど、勉強していく中で、もっとちゃんと鍼灸を学びたいなって思い始めて。鍼灸の一流の先生に学べるのはやっぱ東京だ!って事で上京し、鍼灸業界を代表する先生方から学ぶ機会を得て、新宿の専門学校教員になるきっかけにも繋がっていきました。
学生時代に家庭教師をしていた経験や、元々教えるのが好きだった事から新宿区の鍼灸専門学校にご縁があり、鍼灸師を育成する教員を10年以上続け、1000人以上の鍼灸師を育てました。教員として日々を過ごす中で、教育と臨床の難しさや問題点を感じたり、様々な葛藤、出会いもあり別れもありで家庭も体も全て壊して、地元に戻ってきました。実家でコツコツ畑耕したり、花いじったりして療養しながら、治療院開業の準備していた時にコロナの緊急事態宣言になって。結局地元ではなく、郡山での開業になりましたが、これも巡り合わせかなと思います。
―――教えるのが好きということでしたが、幼い頃の夢は先生になることとか?
小学校の時の将来の夢は、心の広いお金持ち、中学校が店長さん、高校はエンジニアでした。エンジニアにはなれて、現在、店長と言えば店長ですし、あとは”心の広いお金持ち”になるだけですね。笑。先生になりたいっていう気持ちはなかったですが、昔から何か教えるのは好きでしたね。自分が得たものを伝えたい、いいものやオススメを周りに伝えたいという気持ちはずっとありますね。
今でも、独立を目指している鍼灸師や整体師、セラピスト向けの講習会も定期的に開催していますし、質の高い治療家育成にも力を入れていきたいと思っています。
ーーーでは、鍼やお灸のオススメはどんなところでしょう?
結局は自然ってことですかね。鍼は自分が持ってる力を引き出すっていう治療法なので、自然なんです。例えば筋肉トレーニングって、筋肉をわざわざ痛める事で筋肉を太くする事ですよね。鍼もお灸も、わざと体を傷つける事で、あなたの持ってる力を引き出すっていう治療法なので、筋トレと同じようにやればやるほど結果が出る。やればやるほど効果が出てその人に返ってくるので、それが一番良さですね。
ただこちら側の能力が必要で、鍼灸をやりすぎると具合が悪くなる場合もあります。なぜかというとその人の持ってる力以上の刺激をしてしまうと、逆にその刺激によってグッタリしちゃう。好転反応とも言われ、身体の治す力を引き出す施術で症状が強く出る事もあるので、注意が必要ではあります。ですが、セルフケアで出来るようなお灸なら、免疫力が上がり、やればやるだけ自分の持ってる力を引き出し、健康な状態をキープできるんですよ。瞑想とかと似てるんじゃないすかね。座禅とかもやればやるだけ変化を感じ取れるようになりますよね。
ーーーその良さはなぜ伝わらないのでしょうね
そりゃそうです。ちょっと傷つきますからね。わざわざ注射されに行く人いないでしょ笑。わざわざ、火傷しに行く人はいないんです。でもそれは先入観、イメージですよね。一度体験してみると違うんですけどね、良さを伝えきれてないんだと思うんです。昔は熱いお灸して火傷させてジュクジュクさせる事で、免疫力が高い状態をキープさせたんですけど、今は衛生状態が良くなったので、そこまでやる必要がないです。例えば、自己免疫系のアレルギー持ってる人は、アレルギーの原因となるIgE抗体を抑制するお灸を知らなかったり、自分の体を正常な状態に戻す鍼灸がすごくいいんだけど、その良さを伝えきれていないというのが鍼灸業界の弱さだと思いますし、課題でもありますよね。
――私も体験しましたが、鍼もお灸も一度体験すると、イメージと全く違いますよね
ボディケアの需要はすごくあって、鍼灸院には行かないんだけど、リラクゼーションサロンに行く方は多いですよね。でもリラックスするだけじゃなくて、体が辛いっていう時にはやはり治療が必要で、鍼灸が一番良い、効くと思ってます。思ってるけど、鍼灸じゃなくて整体でもいいし、リラクゼーションでも何でもいい、治ればなんでも良いと思ってます。ですが、この場所が鍼灸の良さを伝える、なにかきっかけにしたいな、きっかけの場所になってくれると嬉しいなと思います。
僕はバック1個あればどこへ行っても治療できますから。そういう世界ですからね鍼灸は。どこでもできるという。江戸時代までは鍼灸師がお医者さんだったんですけどね。伝統的なセルフケアですから、良さを今後も伝えていきたいですね。空海さんがお灸を全国に広めたように、現代でも広めたいですね。テレビ局からお声がかかったら、いつでもサトシくんのツボ講座なんかもやりますよ。
これからについて
――夢とかこれからやりたい事などお聞かせください
僕、泉崎村長として死ぬって決めてるんです。泉崎村を日本一のスポーツと健康と教育の村にするって。僕の中のこれはライフワークで、墓石にそう書かれる予定なんです。そのためにはまず村議会議員にならなくちゃいけない。そして良い村長になるためには、村民の意見を聞きたいので、地元で開業してね。毎日コツコツ治療していけば、それだけファンが増えて、支持層になってくれる。僕はアイディアがいっぱい生まれてきちゃうので、やりたい事がたくさんあるんですが、それにはトップにならないとできないこともたくさんあるなって思って、福島のトップになるのは厳しいと思うので、泉崎村のトップ目指して、村長になるために日々頑張ってます。
心身を整える方法っていうとみんな楽な方に行っちゃうんすよね。病気になると病院に行くでしょうけど、もっと賢く考えれば、病気にならないように予防するのが一番だと思いますし、予防をすれば病院行くこともないですから。生活習慣病って、生活習慣を見直せばならない病気ですからね。コリとるに来てくれる人には、うちに来る事で少しでも健康になって帰っていただいて、みなさんが日々健康にお仕事して、できるだけ健康に過ごせるサポートができたらなと思って仕事してます。
――ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
今回初めて鍼灸を体験させていただき、自分が思った以上に冷えと疲れが溜まり、定期的なメンテナンスが必要だと住職自身体感する時間となりました。勝手な先入観で怖そうなイメージがありましたが、その先入観を見事に覆す、心身を癒す時間です。ゆっくりお灸が燃えて煙を感じる時間も、マインドフルネスな時間であるな、と感じました。
11月27日は、ご自宅でもできる手軽なお灸「せんねん灸」を使って、お灸教室を開きます。体の不調を感じていらっしゃるみなさん、お灸を体験してみなさん、ぜひご体験ください。ご参加お待ちしております。
*インタビュー・文 松村妙仁
*2022年11月1日 コリとる鍼灸整体サロンにてインタビュー
はじめてのお灸教室
お灸に馴染みが無い方へ、はじめてのお灸教室として、
お灸の歴史や成分、お灸のすえ方などご自宅でも簡単に出来る「せんねん灸」を実際に体験していただく会です。
お身体のお悩みを伺い、効果的なツボの取り方や、お灸のすえ方が学べます。
◆日時:2022年11月27日10:00~11:00
◆場所:壽徳寺本堂にて
◆体験料:¥2000(せんねん灸のお土産付き)
お申込み・詳細はこちらから
三村 聡(みむら さとし)さん プロフィール
郡山市 コリとる鍼灸整体サロン院長
【資格】
はり師・きゅう師・鍼灸教員免許
JSPO公認アスレティックトレーナー
健康運動指導士
障がい者スポーツ指導員
福祉住環境コーディネーター
【所属】
全日本鍼灸学会
福島県鍼灸師会
【趣味・特技】
DIY(コリとるの内装も全てDIYしました!)
ガーデニング(コリとる玄関周りで楽しんでます)
弓道(高校、大学、社会人で日本一になりました)
【学歴】
泉崎第一小学校 卒
泉崎中学校 卒
白河高校 卒
中央大学 理工学部 卒
国際メディカルテクノロジー専門学校 鍼灸師科 卒
東京衛生学園専門学校 臨床教育専攻科 卒
鍼灸学校教員として10年以上1000人以上の鍼灸師を育成してきた知識と経験から編み出した、安心安全で効果的な施術を、安価でご提供するのがモットー。コリとる鍼灸整体サロンは、リラクゼーションサロン並みの癒される空間と、お悩み解消に全力を尽くし、身体の何でも屋さん、雑貨屋さんやコンビニエンスストアくらい気軽に立ち寄れるボディケア専門店を目指しています。
コリとる鍼灸整体サロン ホームページ https://www.koritoru89.com/