ごえんびと
第9回
目黒 麗 (めぐろ うらら)さん
連載コーナー「ごえんびと」
壽徳寺にご縁のあるひと(ごえんびと)にインタビューし、想いを伺いながらご縁を深めます。
第9回目は、目黒 麗(めぐろ うらら)さんです。
目黒さんは福島県三島町在住で、クリスタルボウル演奏家、漆塗りネックレスなどの雑貨屋として活動されています。11月14日には、壽徳寺でクリスタルボウル演奏会も開催。少人数開催ですが、ぜひみなさまに体感していただければと思います。
会津での生活、クリスタルボウルとの出会いなど、目黒さんのいままでとこれからについてお伺いしました。ぜひご覧ください。
*クリスタルボウルとは
水晶などの石、鉱物を器の形にした楽器。専用のバチで優しく叩いたり、ボウルのふちをこすったりして、瑞々しい透明感のある倍音を奏でる、癒しの楽器です。
会津での暮らし
―――ご出身は福島市なんですね?
そうですね。5歳まで福島市に住んでおりまして、その後会津若松市へ移り住みました。大学進学時に会津を離れ、大学卒業後は千葉県内のホテルに就職。その後、海外にも憧れがありワーキングホリデーでオーストラリアで1年間生活し、会津に戻ってきたかんじです。
―――いずれは会津に戻って来るつもりだったのでしょうか?
いえいえ、会津に戻るつもりはなかったんです。ですが、会津を離れてみると四季の美しさに懐かしさや魅力を感じるようになっていました。私は会津の自然が好きなんだなと。
父の実家が金山町にあり、祖母が実家でひとり暮らしをしたことで、幼い頃は週末に家族で父の実家に行っていました。若松市内に住んでいながらも、自然の中で遊んでいたという原風景は金山町です。自然豊かな風景の中にいることや、見ること、昔ながらの里山の風景、自然の音が好きというのは幼い頃養ったものだなと思います。
―――奥会津で一人暮らしするきっかけにも繋がってゆきますか?
そうですね。祖母が住んでいた家が空いていたので、一人暮らしをはじめました。オーストラリアに住んでいた頃から、自給自足で暮らしてみたいという気持ちがあったのもあります。ですが、暮らしてみると雪国の一軒家でひとり暮らしは結構大変でした(笑)。父が週末、畑仕事や雪かきには来てくれていたので、なんとか暮らしていけたようなものです。一軒家でのひとり暮らしは4年くらいの経験でした。
―――田舎暮らしはご近所付き合いも大変っだのではないですか?
祖母が住んでいた地域だったので、地域の方々に助けてもらっていました。幼い頃からよく通っていた土地であることは大きかったですね。祖母を通じて幼い頃の私も知ってもらっていたので、まったく知らない土地ではないという安心感もありました。父の実家に住むということで、自分のルーツをたどるような感覚もありました。
クリスタルボウルとの出会い
―――クリスタルボウルとの出会いをお聞かせください。
演奏は2013年頃からはじめました。
会津に帰ってきてから、2008年頃、たまたま演奏会が喜多方であり聞きに行ったのがきっかけです。その時、自分の体感として不思議な感覚があり、その感覚が日が経ってからも残っていました。あれはなんだったのだろう?と不思議な感覚でした。そこからクリスタルボウルが気になりはじめて、東京にも聞きに行ったりしていました。
その時はまさか、自分が演奏する立場になるとは思いもしなかったです。演奏会に何度か行くようになると、周りの方々と顔なじみになり、受付の手伝いなどするようになって、演奏者やスタッフの方と交流するようになりました。そのうちに「私もやってみようかな」という気持ちで、はじめてみました。
―――先生に基礎から習うというかんじなのでしょうか?
先生に教わるのは基礎の部分で、あとは自分で感じるように演奏していきます。習ったとおりに正確に演奏しようということから抜け出せず、自分なりの演奏ができない気がしていた時期もありました。先生には「このとおりにやりなさい」と言われたわけではないのですが、教わったとおりにやらなくちゃ、ということがどこか頭に残っていたんです。学校時代もマニュアル通りにやるタイプでしたので、そこからなかなか抜けなかったのかもしれませんね。
子育てもあり、演奏することから少し離れている時期もありましたが、その間に学んだことや感覚を活かして、最近はもともと習ったスタイルに、自分の工夫を加えて、自由な気持ちで自分なりの演奏ができるようになってきたかなと感じています。
―――昔から音楽の経験があったのですか?
小中学校では吹奏楽部に入りフルートをやってました。ですが、助っ人として入った打楽器アンサンブルの時の方が楽しかったですね(笑)。割りと惹かれるのは打楽器で、クリスタルボウルも打楽器だったわ、と最近になってから、気付きました。他にもビブラフォンやハープの音色など、ほわっと癒される音色が好きですね。
――クリスタルボウルにもさまざまな演奏スタイルがあるかと思います。目黒さんはどのような演奏スタイルですか?
私の演奏は、クリスタルボウルの音色にプラスして、マントラ(祈りや瞑想、ヨガなどで唱えられる言葉)とか、自分から湧いてくるメロディーを声に出しながら演奏するスタイルです。これは私が習ったスタイルなのですが、クリスタルボウルの音色だけの演奏と思って聞いていた方には、声が聞こえて少し驚かれる方もいらっしゃいますね。
参加するスタイルも畳の上などに横になって聴いていただくのが多いのですが、アートの展覧会の中で演奏する時などは、椅子に座って、私の演奏も見ていただくこともありますので、見られながら演奏するという機会も良い経験となりました。
また、屋外で演奏することもありました。屋外だと自然界の中でいろんなところに反響して、山とか空から音が鳴っているように聞こえるなど、いろんな感想をいただくこともありますね。
――親子で参加できる演奏会も開催されているのですよね?
そうですね。通常の演奏会では、とても静かな空間ですので、お子さんがいらっしゃる方が、お子さんが声を出したり動き回ってしまったりした時、十分リラックスできないとのお声があり、通常の演奏会とは別に、親子向けの演奏会を開催しました。お子さまが元気に動き回ったりしても心配なく聴いて頂けるように、今までの経験を活かして、開催場所の選定や短時間の演奏会にしたり、工夫しながら開催しています。
これからのこと
――ハンドメイドのアクセサリーづくりもされているとか?
父が漆細工やまたたび細工をつくっていて、漆細工のパーツで私がアクセサリーを作ったりして、販売しています。今は地元のマルシェでの出展などを中心に、今後はネットッショップでも展開できればと思っています。私の今の環境の中でなにができるか?と考えた時に、自分が好きなものが販売できるようなればいいなと思って、はじめてみました。
両親とも、手作りすることが好きで、私が幼い頃は大工仕事やお裁縫で、子供の遊ぶ道具、持ち物、衣類など、また、お菓子など、手作りしてくれていました。その環境で過ごした影響は大きいかなと思います。
――今考えていること、これからのことなどお聞かせください
今までも、これからもそうですが、まず、自分自身を幸せにすること、そして自分の近くの環境から心地の良いものにしていくことを大事にしていきたいと思っています。自分を幸せにできるのは他の誰でもなく自分自身ですし、自分が満ちることで周りの世界に良いものを広げていけると思っています。子育てが始まったばかりの頃は、家事と子育てだけで体力がいっぱいいっぱいな自分にがっかりしていました。理想と現実を比較しては、知らず知らずのうちに自分を責め、そんな自分にも気づけなかったんです。
自分の五感が喜ぶことを大事に、こだわりつつも、自分の身体を自分で楽にする工夫も大切に選ぶことで、日々楽しく豊かに、創造的な生き方ができるんじゃないかと思っています。過去の自分を受け入れ、そしてまだ見ぬ新たな自分との出会いを楽しみに、私自身が楽しんで、人生を創っていきたいなと思っています。
まずは、11月14日の演奏会楽しみにしております。ご参加お待ちしております。
――ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。演奏会楽しみにしております。
念願が叶って壽徳寺にてクリスタルボウルの演奏会を開催いたします。
目黒さんに演奏をお願いしたいと思ったのは住職の直感(笑)目黒さんのこれまでのご経験やブログなどを拝見して、想いが重なる部分があり、お願いいたしました。今回お話を伺ってその直感が確かであったことを実感する時間でした。お話を伺いながら、演奏会がさらに楽しみになっております。
クリスタルボウルはからだ全体で体感するものと思っております。みなさまもぜひ目黒さんの演奏、体感しにいらしてください。お待ちしております。
*インタビュー・文 松村妙仁
*2021年10月19日 インタビュー
インタビュー記事 PDF版のダウンロードはこちらから
クリスタルボウル演奏会
■日時:2021年11月14日(日)14:00~15:00
■場所:壽徳寺本堂にて
■参加費:3,000円
■詳細・お申込はこちらから
目黒 麗 (めぐろ うらら) さん プロフィール
福島県福島市出身。
5歳から高校生まで会津若松市で過ごす。
大学生から就職3年目まで県外で過ごすが、その後1年間オーストラリアでのワーキングホリデーを経験したのち、地元会津に戻ってくる。
主にホテル・旅館業、のち、高齢者の介護施設で仕事に携わった経験あり。
2008年にクリスタルボウルに出会い、その透明感のある神秘的な音に惹かれ、演奏を聴きに行くようになり、2013年頃から奏者としてヒーリング演奏を行うイベントを開催する。
今年2021年からクリスタルボウルの演奏の他に、漆塗りのアクセサリーやマタタビ細工などの販売をする『おとのはことは』という店名で活動中。
自然豊かな土地が好きで、
現在は奥会津の三島町在住。2児の母。