「民報サロン」2022年4月21日掲載

ハートウェアの糸紡ぎ

 会津木綿が好きな私は、略式のお袈裟に仕立てたり、お寺のオリジナル御守りとして奉製したり、日常に取り入れています。お袈裟をつけていると、いい色だね、どこで作ったの?私も作りたい。という声をいただきますし、御守りも大好評です。お気に入りを身に着けながら、会津の良さを知っていただく機会として、楽しみながら続けています。

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「民報サロン」2022年3月31日掲載

頼りにされる幸せ

 「おてらおやつクラブ」という活動を聞いたことありますか?お寺のお供えものを仏さまからのおさがりとして、経済的困難を抱えたご家庭へおすそわけをする活動です。2013年に奈良県のお寺から始まり、今では全国約1800ヶ寺が賛同し、拙寺を含め福島県内のお寺も登録しています。お寺の「ある」と社会の「ない」をつなげたこの仕組みは高く評価され、2018年のグッドデザイン大賞を受賞。現在は奈良県からの認可を受けた認定NPO法人として活動の輪を広げています。

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「民報サロン」2022年3月10日掲載

グリーフと共に生きる

 「母が亡くなったのは私のせいです」
 数年前、四十九日の法要時にご遺族が語った言葉です。長年患っていた持病の手術を受け、手術自体は成功したものの、術後の体調変化により別の疾患で急逝したお母様。手術を勧めたご子息は、あの時自分が勧めなければこんなに早く逝くことはなかったと、自責の念からの言葉でした。
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「民報サロン」2022年2月18日掲載

伝統と前例

 私の住む地域では「おでんのやま」という夏に行う恒例行事があります。子ども達主体のお祭りで、じゃがいもとネギが入ったおつゆを作り、地域住民に振る舞うというもの。祭り当日畑から野菜を収穫し、川で洗い、食べやすい大きさに切り、火を起こし、おつゆを作るまですべて子ども達が行います。上級生が下級生へ教え伝え、代々受け継がれてきた年に一度の楽しいお祭りです。時代の流れによってこのお祭りも途絶え、ここ四十年ほど開催していなかったのですが、場所がお寺の裏山ということもあり、お寺の行事として四年前に復活しました。
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「民報サロン」2022年1月28日掲載

吹雪の中の道しるべ

 東京から地元猪苗代に戻り、一番気がかりだったことは雪道の車の運転です。学生時代に免許を取得し、その後ほとんど運転せず二十年のブランク。Uターン直後にはペーパードライバー講習も数回通いました。乗って慣れるしかない、という教官の言葉を励みに経験を重ね、冬の運転も六年目です。
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「民報サロン」2022年1月8日掲載

偶然か必然か

 

 本日1月8日は、一年の中でお寺が最も賑わう日です。初薬師といって本尊薬師如来の年明け初縁日で、多くの方が参拝されます。一年の無病息災や安寧を祈願する護摩法要と、檀信徒新年会、総会を開催しています。今年も法要のみですが、一年のスタートとなる大きな行事であり、私にとっても大切な一日です。この日に執筆担当するということ、この民報サロンが146期であることも運命のように感じます。というのも4月6日が誕生日の私にとって4と6は身近な数字。今期に導かれるべくして引き寄せられたのか?必然だったのか?と勝手に思ってしまいます。

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